株式会社ホクセキ

Column

砂糖にまつわるエトセトラ

北海道民にとって砂糖の原料といえば、ビート(甜菜糖-てんさいとう)ですが、
歴史的に砂糖といえば、サトウキビが原料の甘蔗糖(かんしょとう)です。
甘蔗糖は紀元前からその存在が確認され、インド発祥とされています。
マケドニアのアレクサンドロス3世がインド遠征の際、砂糖の存在を知ります。
それまでヨーロッパの甘味料といえば、蜂蜜だったため、
砂糖の発見は驚きでした。
その後甘蔗糖の製造法は、世界の交易の中心であったイスラム
世界へ伝わり発展します。
そしてその後の十字軍遠征により、本格的にヨーロッパへ広が
ることになります。
コロンブスのアメリカ大陸発見後、各植民地で奴隷によるサトウ
キビ栽培が盛んになり、ヨーロッパ列強諸国は砂糖による莫大な
富を得ることとなります。
実はビートの存在も紀元前から確認されていましたが、元は葉を
食用とする野菜でした。その後根部が肥大した飼料用ビートが
栽培されるようになります。
ヨーロッパでは、気候の暖かい地中海の周り以外ではサトウキビ
が育たないため、甘蔗糖のほとんどを輸入に頼っている状態
でした。
そんななか、ヨーロッパの気候でも栽培できるビートから砂糖
を製造できないかと試行錯誤していたところ、
1747年、ドイツの化学者アンドレアス・マルクグラーフが
ビートの根から砂糖を分離することに成功。その後弟子だった
フランツ・アシャールが砂糖の製造に成功し、工業化へ発展します。
1806年、フランス皇帝ナポレオンの大陸封鎖令により、ヨーロッパ
内へ甘蔗糖の輸入が妨げられたことから、甜菜糖の製造が進められ、
数多くのビート糖工場がヨーロッパに建設されることになります。
ビート製糖工場の機器に欧州製が多いのは、そういった歴史的背景が
あるためです。

砂糖にまつわるエトセトラ~砂糖製造の副産物、ビートペレット

フリュームから流送されたビートは洗浄された後、スライサーと呼ばれる
回転する刃物で、きんぴらごぼうのように裁断されます。
裁断されたビートはコセットと呼ばれ、滲出塔と呼ばれる設備にて糖分を抽出
されます。
糖分を抽出されたコセットは、その後圧搾機にて更に糖分と水分を搾り取られ、
圧搾パルプ(プレスドパルプ)となります。
プレスドパルプはパルプ工場で糖蜜を添加、重油を燃料とする強力なバーナー
でファーネスと呼ばれる炉内でプレスドパルプを乾燥(乾燥させる際に出る水
蒸気は、巨大な煙突にて排出されます)させ、ドライパルプとなります。
その後ドライパルプはペレットマシンと呼ばれる圧縮機にてペレット状に形成
され、包装工程を経て製品化されます。
ビートペレットは、糖蜜が添加されているため、わずかながら甘味があり、
牛も喜んで食べるそうです。
工場へ搬入されたビートは砂糖になるばかりか、牛の飼料となり、余すことなく
利用されます。
ビートを流送するフリューム
プレスドパルプ。この後パルプ工場にて乾燥
ペレットマシンにて形成され、このような形に
袋詰めされたペレット

砂糖にまつわるエトセトラ~とっても大事!炭酸飽充

炭酸飽充。聞き慣れない言葉だと思いますが、砂糖製造においては
とても重要な工程で、製糖工場には必ずある設備です。
何をする工程かというと、糖液の清浄化です。
ビートには砂糖となるもの以外に、浮遊物やコロイド性物質、着色物質等も
含まれています。
砂糖製造にとって、砂糖以外の成分は不純物であり、
それらを取り除かなければ純度の高い白いお砂糖が出来ません。
そこで活躍するのが炭酸飽充です。
その方法は、滲出塔にて抽出した糖液(ロージュースと呼ばれます)に、
ライムミルク(水酸化カルシウム)を加えて混合し、その糖液を飽充槽へ送り、
槽内に炭酸ガスを吹き込みます。
そうすると、糖液中の水酸化カルシウムが炭酸ガスと反応して、不溶性の
炭酸カルシウムとなり、その際不純物を取り込んで沈殿物を形成します。
その沈殿物を除去することでロージュースの清浄化を行います。
この工程が上手くいくかどうかが重要で、上手くいかないと、取り切れなかった
不純物やカルシウムが後の工程に悪影響をおよぼすことになります。
ホクセキの現場では、この炭酸飽充に使用する石灰と炭酸ガスを製造します。
キルンという、焼成炉で石灰原石(炭酸カルシウム)をコークスと焼成し、
生石灰(酸化カルシウム)と二酸化炭素(炭酸ガス)を焼成、発生させます。
焼成した生石灰をお湯で溶かし、ライムミルク(水酸化カルシウム)を製造します。
ライムミルクはポンプで工場本館へ送り糖液と混合、炭酸ガスはガスポンプと
呼ばれる大型ポンプで飽充槽へ送られます。
その後は前述した炭酸飽充反応を行い、糖液は清浄化されるということになります。
面白いのは、石灰原石は炭酸カルシウムという物質で、それをコークスと焼成すること
で生石灰と炭酸ガスに分離し、生石灰に水を加え、ライムミルクにして、それを
糖液に混ぜ、炭酸ガスを吹き付けることで、化学的に元の炭酸カルシウムに戻る過程で
不純物を抱えて沈降させるという反応です。
一体誰が考えたのかわかりませんが、すごいと思いませんか?
さとうきびから作る黒糖も、搾られた粗汁に石灰(この場合石の石灰ではなく、
海から取れた貝殻由来の石灰で有機石灰と呼ばれます)を加えて加熱することで、
不純物を沈降させて灰汁を取る工程がありますが、炭酸ガスは使いません。
やはり炭酸ガスを使った方が、より不純物を沈降できるようですが、黒糖を作る場合はあまり清浄化しないほうが、コクのある黒糖ができるようです。
石灰を焼成し、炭酸ガスを発生させるキルン塔。
焼成する前の石灰原石。一日に約90~100tの石灰原石がキルン塔へ投入されます。
焼成後の生石灰。
生石灰をお湯で溶かしたライムミルク。本当に牛乳のように白いです。

砂糖にまつわるエトセトラ~大自然の前では、人間なんて無力です!

製糖工場では、水は命です。
冷却水や洗浄水等、様々な用途で使用され、工場の隅々まで行き渡っています。
この水を河川から取水する作業をホクセキで行っています。
常呂川より、専用の大型ポンプで汲みあげて、工場へ送水しています。
砂糖製造は秋から冬にかけて行います。
皆さんは真冬の河川をよく見たことはありますか?
小さな河川は完全結氷してしまいますが、常呂川のように大きな河川は完全結氷は
しません。(一部結氷する場所もありますが)
そんな真冬の川の風物詩がアイスジャムです。
アイスジャムとは要するに氷です。河川水が0°以下になると発生します。
気温によって量が変化し、-20°にもなれば、大量のアイスジャムが発生します。
このアイスジャム、見た目はただの氷ですが我々にとっては大きな脅威となります。
前述した通り、河川水を大型ポンプで取水する際、このアイスジャムを大量に吸い込ん
でしまうと、ポンプの吸い口や配管が詰まり、最悪の場合、取水不能となります。
そうなった場合、製糖工場は発電機の冷却ができなくなり発電停止、つまり工場停止となってしまいます。
そうならないために製糖期になると、取水口前にタテスと呼ばれる設備を設置します。
アイスジャムの取水口への侵入を防ぐのが目的です。
その昔、丸太で三脚を組んで、タテス(日よけ)のような物を取付けてアイスジャム
の侵入を防いでいましたが、時が経ち、色々進化して現在の形になりました。
冬の北海道は寒さや大雪等、大自然の力をまざまざと見せつけられる事があり、
人間の無力さ、小ささを痛感しますが、我々は安定した取水を行うべく、日々努力を積み重ねております!
川に流れているのがアイスジャムです。
寒さが増すと流れる量も増えます。
アイスジャムがこびりついたもの。我々は綿氷と呼んでます。
タテスと呼ばれる設備です。

砂糖にまつわるエトセトラ~砂糖製造の最終工程 「包装」

包装工程はまさに「工場」というイメージそのものの職場です。
ベルトコンベアに包装された砂糖製品袋が次々と流れていく光景は圧巻です。
砂糖製品には様々な規格があり、その規格ごとに袋をを変え、包装機で包装します。
分かりやすく言えば、
手塩に掛けて育てた娘さん(砂糖)を花嫁衣裳(包装袋)に着替えさせ、
嫁がせる(販売先)といったところでしょうか?(例えに無理がありますが、ご容赦を)
嫁ぎ先で粗相がないようにと細心の注意を払って着飾ります。
つまり、製品規格として基準を満たしているかどうかを注意しながら包装機を運転、
管理するのが当社の業務であるということです。
包装袋が送り込まれ、計量・充填されます。
紙袋の補充、その他消耗品交換は人の手で行います。
機械や人の手で様々なチェックが入ります。
チェック後、倉庫へ流れて行き、出荷されます。

社会人として、大人として、
一人の人間として、
何を考え、何を成せるのか?
正解はありません。
答えはあなたが見つけて下さい。
ともに歩んで行きましょう!

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